543.わたしの若草物語(05/23 11:03)


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<画像:わたし>

 『若草物語』は何回も映画化されていますが、1933年製作 ジョージ・キューカー監督 キャサリン・ヘップバーン主演(ジョー役)をベストにあげたいです。
 モノクロなんですが、さすがキャサリン・ヘップバーンは違います。
 この映画のDVDを見た夜のことでした。<画像:><画像:>

 
 わたしの見た夢 4

 『わたしの若草物語』

 ふと通りかかった映画館で『若草物語』の映画が上映されていました。わたし小さい時から『若草物語』が大好きなんです。でも自分の中にある原作の雰囲気が壊れることを恐れてこれまで小説を映画にしたものはあまり見なかったのですが、せっかくですので見ることにしました。
 映画館の中はかなり混んでいましたが、幸いにもちょうど真中ぐらいの席に座ることができました。上映を知らせるブザーが鳴り館内は次第に暗くなっていきました。
 幕が静かに開きいよいよ上映です。
 物語が進みスクリーンの中に馬車に乗った姉妹が現れました。わたしはお気に入りのジョーを探しました。ジョーはすぐに見つかりましたが何かがおかしいことに気づきました。四人の姉妹がいるはずなんですが三人しかいないんです。最初のシーンでは四人いたはずなんですが。メグとベスもいました。いないのは末っ子のエイミー、そうですエイミーの姿が見えないのです。
「どこにいるのかしら」わたしはスクリーン中を探しましたがどこにもいませんでした。音楽がしだいにゆっくりになり、それとともに登場人物の動きもまるでスローモーションでも見ているようにゆっくりになりました。
 スクリーンの中のメグの目がわたしの目に合いました。何か驚いているようでした。メグがジョーとベスに何かささやきました。三人がゆっくりとわたしの方を見ます。視線が合いました。
「エイミー、何しているの、遅れるわよ、早くいらっしゃい」
 まるで映画の登場人物がわたしに話しかけているようです。
「エイミー、まったくしょうがないんだから、早く早く」
 まわりの観客の目がわたしに注がれました。呼ばれているのはわたしのようです。でもなぜわたしが呼ばれるのでしょう。突然、わたしの中に何かなつかしさが込み上げてきました。
「みんな、待って。すぐ行くわ」わたしはスクリーンに向かって走り出しました。スクリーンの中のメグがわたしに手を伸ばしてくれました。わたしはスクリーンの中に入り馬車の上に飛び乗りました。「まったくおてんばなんだからエイミーは」とジョーの声がしました。
「ごめんね、遅くなって」わたしはみんなに謝りました。
 馬車が家の前で止まりました。突然あたりが暗くなりました。気がついてみるとわたしがいるのは映画館ではなく小さな舞台の上でした。舞台の上にはわたし一人しかいませんでした。観客がわたしをじっと見つめています。観客の中にわたしの三人の姉、メグ、ジョー、ベスもいました。「メグ、ジョー、ベスどうなっているの」わたしは叫びましたが三人ともわたしの方をじっと見ているばかりで何も答えてくれません。
 観客の視線が次第に厳しくなっていきました。わたしは舞台にいる以上演じなければいけないのに気がつきました。演じることができなければ舞台を去らなければならないのです。
「わたし、何を演じればいいの」わたしは小さな声で尋ねました。観客からは何の反応もありません。ざわめきが大きくなりました。「ああそうなんだわ、わたしはエイミーを演じればいいのね」
 そのとき以来わたしエイミーを演じ続けています。舞台から観客がいなくなってもわたしエイミーのままです。もう以前のわたしには戻れないかもしれません。でもわたし悲しくなんかありません。三人のおねえさんたちが時々わたしのお部屋に遊びに来てくれるんですもの。わたしたちとてもなかよしなんです。
 
 (説明)
 わたしが平日お仕事の時演じている少女は実務をきちんとこなしていく『エイミー』なのかもしれません。お家に帰るとkiki(キキ)に戻ります。

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