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2006年03月21日
沼を走るもののけとわたし
この前、裏磐梯の堤防沼に夕日の撮影に行きました。ちょうど季節が冬から変わるころで堤防沼の氷もかなり溶けていました。
少し暗くなり太陽が雲に隠れてしまいました。
「あら、残念だわ。きょうはこれで終わりかしら」
と思いあきらめかけたころ、天から何か得体の知れないものが飛び降りてきました。それは暗くなった雪原に降りたかと思うと、こちらをちょっと見てそれから突然池に飛び込んできました。水しぶきが高く上がりkikiのお洋服を濡らします。
「きゃあ、いったい何なの」
池の中に入るとあれほどすばしこかった動きがゆっくりになり、まるでスローモーションを見ているかのようです。
しばらくして太陽が出てきてもののけは苦しそうにあがきながら、太陽の光の中に飲み込まれようとしています。
「待って、わたしも光の中に入りたいわ」
とあわてて叫ぶと、沼の主でしょうか、何か聞こえてきます。
「お嬢さん、これ以上は危険ですよ」
「でもわたし……」
太陽の光がますます強くなりもののけは完全になくなってしまいました。
「ああ、そうなんだわ」
これは冬から春への大切な儀式だったのでしょう。そしてもののけは季節を運ぶ大切な使者だったのです。
kikiは三分だけのもののけ姫だったのかしら。でもこれに立ち会えたkikiはとても幸せです。これってきっと沼の氷が完全になくなるまで毎日続けられるのでしょうね。夕方太陽が出ている限り。
投稿者 kiki : 2006年03月21日 17:46
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コメント
なんて貴重な体験でしょう!
その儀式ぜひ立ち会ってみたい・・・
今年は…お山の下にいらした冬さんが何か楽しい事に夢中のようでそろそろお帰りの時期なのにまだ気づいていないようですね
南の風さんにお願いしてそっと耳打ちしてもらいましょうか・・・
投稿者 ステラ : 2006年03月22日 18:34
ステラさん、ありがとうございます。
kikiは冬でもない春でもない境界の世界で遊びたかったの。
そこが危険なことは十分知っているつもりです。
でも、kikiにはどうしてもやさしさが欲しかった。
厳しいところにしかやさしさはありません。
沼の主とkikiはおともだちです。
きっとkikiのことを守ってくださると信じています
投稿者 kiki : 2006年03月22日 20:23