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2010年05月23日
虹を探して
晴れた日に滝に行くとよくきれいな虹が出ていますね。
虹にはしあわせがありそうな気がして、近づこうとしますが、虹は遠くに行ってしまいます。そんな時に見た夢です。
わたしの見た夢 3
『虹をさがして』
かなり前のことでよく思い出せないのですがわたしはある渓流を一人だけで歩いていました。まわりは霧に覆われここがどこだか、どうしてここに来てしまったのか全然わかりません。大声で助けを呼びましたが鳥の声すらも聞こえませんでした。戻ろうと思ったちょうどその時です。霧の中から滝が見えました。滝には美しい虹がかかっていました。
漆黒に暗く落ち込んでいる滝にかかる虹のあまりの美しさにそっと虹に近寄ろうとしました。普通でしたら虹は逃げて行きますね。でも、そのときは虹は近づけば近づくほど輝きを増してきました。
空が暗くなり稲光が天空を走り大きな雨粒が渓谷に降り注ぎました。あたりは真っ暗です。でも、虹はちゃんと目の前にありました。虹に手をかざすと虹の七色の光が手に飛び込んできます。
「虹さん、どうしてきょうは逃げないの、不思議ね」
「あなたを待っていたのですよ」
どこからともなく不気味な声が聞こえ、それとともに体の自由がきかずまるで金縛りにあったかのようです。
「こちらにおいで、怖がらなくでもいいのだよ」
いやおうもなく虹の中心部に体が引き寄せられていきました。頭上からは滝からの水が情け容赦なく降り注いできます。
虹の中に何人かの人影が見え、手招きをしていました。
「行ってはいけないわ」
そう思いながらも自分の意志とは逆に滝の中心部に引き寄せられて行きます。激しく降り注ぐ滝の水から垣間見る人影はおぼろげでしたが、よく見るとまるで滝に打たれている修験者のようでもありました。
体がさらに虹の中心部へと吸い込まれると今まで降り注いでいた滝の水が突然止まり、かわりに四方八方から輝くばかりの光に包まれました。そして体が重力を失ったかのように浮かび上がり、眼下の人影も小さくなっていきました。
意識が朦朧としてきます。突然体がまるでジェットコースターのように急降下していきます。
「滝壷に落ちたのね。もう助からないのね」
一人つぶやくとまたどこからか声がしました。
「人は生き、そして死ぬ。昔からのさだめよ」
「そんなのいや、まだ生きたいのよ」
「生に執着するものは……」
「なあに」
「生に執着するものには死が訪れ、死に執着するものにも死が訪れる、何にも執着しないものだけが生を得る。しかし、それも仮の生、一時だけの生」
「変なこといわないでわたしを帰して、お願い」
目に涙があふれ出てほほを伝わりこの世の終わりのような漆黒の世界に流れ落ちました。
先ほどの修験者と思われる人たちがおもむろに近づいてきてわたしのほほを触りました。その人たちの顔をよく見るとのっぺらぼうでした。
わたしは思わず叫び声をあげました。
「怖がらなくてもよい。この者たちはこの世のものではない。この者たちの仮面はわたしが預かっている」
わたしは下を見ました。水に映ったわたしの顔がわたしにほほえんでいました。
「あなたの仮面をもらうのはこの次にしよう。安心するがよい」
「なぜ、わたしはこんな目に会わなければいけないの。わたしがいったい何をしたっていうの」
「お嬢さん、あなたは何もしていない。でもそれは何の理由にもならない」
「ひどいわ、そんなことってあって。あなたのかってじゃない」
「あなたのいのちはわたしが握っていることを忘れるな、わたしを怒らすと」
「どうっていうの。あなたはいずれにせよわたしを殺すつもりなのよ」
わたしの顔に激痛が走りました。まるで顔を剥かれているような。いや、そのとおりだったのです。水面に映るわたしの顔が次第に消えていきのっぺらぼうになっていったのです。
わたしという存在はそのとき無くなりました。正確にはわたしという仮の存在が自然と同化されたとも言うべきでしょうか。わたしはわたしではなくなりました。でもそのことに苦痛とか恐怖といったものは伴わなかったのです。まったく不思議な状態でした。わたしはわたしから解放され宇宙のすべての要素の一つになったのです。その意味ではわたしは原存在としてわたしというものの永続性を保っていたのかもしれません。
死んでしまったという実感も感情も何一つありませんでした。自分の死体がこの滝壷に沈んでいることも、何日かして捜索隊がわたしではないわたしを発見したとしても。
気がついたときわたしは病院のペッドにいました。家族の顔が心配そうにわたしをのぞきこんでいました。
「鏡を持ってきて、お願い」
母が不思議そうな顔をして鏡を持ってきました。
わたしは鏡を受け取ると自分の顔を鏡に映しました。
鏡の中にはやつれたわたしの顔が映っていました。鏡に一瞬あのときの風景が映りました。
「本当にあったことなんだわ」
母がわたしの顔を心配そうにのぞきこみました。
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投稿者 kiki : 2010年05月23日 10:16
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kikiさん こんにちは。
実は、わたしも一昨日、虹が夢の中に出てきました。
二重に虹が架かる夢だったような、、、。
夢の中で美しい虹を見ると、幸運が訪れるらしいですよ。
これからkikiさんに良いことが訪れると良いです♪
それから、お体お大事に、、。
投稿者 香 : 2010年05月23日 13:00
>香さん、ありがとうございます。
香さんも虹の夢を見られたのですか。
しかも二重とはすばらしいですね。
夢の中の虹は幸せをもたらすのですか。
わたしによいことが起きるなんて、わあなんでしょう。
とても楽しみです♪
お気遣いありがとうございます。
ちょっと疲れていたのかもしれません。
投稿者 kiki : 2010年05月23日 15:13
kikiさん
最近ご覧になられた夢ですか。
虹が夢にでてくるなんて、すごいです。
カラーでご覧になられたのですね。
僕も総天然色の夢を良く見る、、というより、ほとんど天然色の夢ばっかりです。
僕も、夢の中で、突然体がまるでジェットコースターのように急降下する体験はありますよ。
虹の夢のドリームストーリー、とても不思議な感じ。
kikiさんの、「生」についてのお考えが、夢の形になって現れたのでしょうか。とっても象徴的な感じもします。
それと、
お疲れの時に、このような夢を見ることはありますよね。
kikiさんは、とっても深く思考する方なので、疲れたときに、鮮やかな虹の色が夢に現れたのかなと思いました。
お疲れのときは、身体と頭脳を休める工夫をなされてくださいね。
虹の夢が、ラッキードリームになるように、僕も、心からお祈り申し上げますね。
kikiちゃんには、絶対、幸せになってほしいです!!!!!
投稿者 やまがっこう : 2010年05月24日 14:08
>やまがっこうさん、ありがとうございます。
このときはたまたまカラーでした。
いつもは覚えていませんがモノクロだったりカラーだったりします。
疲れている時はやはり怖い夢を見ます。
しかも同じ夢を何回も見るんですよ。
でもそれを文章にするとなぜか見なくなるので不思議なものです。
ラッキードリームあこがれてはいますが、現実はなかなか厳しいものです。
幸せはとても欲しいです♪
投稿者 kiki : 2010年05月24日 19:25
水が勢いよく落ちる辺りをいつまでも見ていると
心が吸い込まれそうで恐い気がします。
沢歩きはよくしますが
暗くて寂しくて、、それでいて美しくて、、
不思議な所ですね。
投稿者 Shimizu : 2010年05月25日 08:56
>Shimizuさん、ありがとうございます。
滝つぼ付近は何か怖いですね。
じっと見ているとそのまま吸い込まれてしまいそうです。
でも修行する方はよく滝に打たれていますので、ある意味では神聖な場所なんでしょうか。
沢歩きいいですね。
あまり危険のないところならわたしもしたいです~。
投稿者 kiki : 2010年05月25日 18:13
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