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2005年10月02日

2005年10月02日

最後の光

 前回の続きです。薄暗い森の中を歩いていくとかすかに光っているものに取り囲まれました。ここから先にはどうしても進むことができません。
「あなたたち誰なの、わたしをどうするつもりなの」
 光るものからかすかな声が聞こえます。
「わたし以前はとてもきれいなお花だったの。でも今では誰にも見向きもされなくなってしまった。どうしてかしら」
「えっ、あなたはお花だったのね。でもこの光は何なの」とkiki。
「わたしたちの最後の光よ」
「わたし恐いわ。最後の光って何なの」
 少しの間沈黙が続き光はしだいに弱くなっていきました。
 kikiにはこのお花が何のお花だったのかわかるような気がします。どんなに美しいものでも時間がたてば輝きを失い老いてしまいます。最後の光というのも何かわかるような気がします。
「kikiもそうなるのかしら、いやだわ」
「いいえ、美しく老いていく方法はあります。このお花もほとんどの人は今では見向きもしませんがずっと注目してくれる人はいますよ。そして何年か先にはまた美しく再生するのよ。だからお嬢さん、安心してね」
 森の奥から若い女の人の声が聞こえます。きっとこの森を守る妖精さんなのでしょう。
「ああ、そうなんだわ。ありがとう」わたしkikiの顔に笑顔が戻りました。
 太陽の光が差し込んで森の中が明るくなり、光っているものたちはどこかに消えてしまいました。わたしはふたたびあてもなく森を歩きはじめました。

投稿者 kiki : 10:01 | コメント (2) | トラックバック (0)