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2006年05月01日
2006年05月01日
秘密の花園
[小さなものがたり]
花見山のソメイヨシノが満開になった時、花見山の頂上まで上ってみました。快晴で遠くには吾妻山が見えてとてもさわやかでした。
投稿者 kiki : 18:49 | コメント (4) | トラックバック (0)
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花見山のソメイヨシノが満開になった時、花見山の頂上まで上ってみました。快晴で遠くには吾妻山が見えてとてもさわやかでした。
しばらくして頂上から見えるきれいな花園に行こうとしました。
「だめよ、ここから先に行ってはいけないわ」桜さんが両手を広げてわたしの行く手をさえぎりました。
「どうしてなの。わたしはあの花園に行くだけよ。わたしにそんなこと言うのはおかしいわ」
「どうしても行くのね。わたし知りませんよ」と、桜さん。
「とうぞおかまいなく」
わたしはころばないようにゆっくりと頂上から下りていきました。少し歩くとちょっとおかしいのに気づきました。歩く幅がだんだんと短くなってくるんです。最初は気のせいかと思いましたが違うみたいです。しばらくすると背も小さくなってきました。
そして、わたしついに13歳の少女になってしまいました。引き返そうとしても下ることはできても上ることはできません。
「お願い、助けて。わたしあなたの言うとおりにします」わたしのほほから地面に涙が落ちていきました。
「もう遅いのよ。わたしには止められない。あなたはこのまま子供になっていくのよ。そして最後には……」桜さんが悲しそうな顔でわたしを見ました。
「どうしてもだめなの」とわたし。
桜さんはううとしばらく考えていました。
「これから大人に成長していく人といっしょなら戻れるかもしれない」
わたしが途方にくれていると遠くから幼稚園の園児が来るのが見えました。きっと遠足に来たのでしょう。その子たちはこれから上に行くみたいです。
「まあ、kikiちゃんじゃないの。離れてはだめよ。みんなといっしょに歩きましょうね」
先生がちょっと恐い顔でわたしをじっと見つめました。わたしはどうやらその子たちと同じ年齢になってしまったみたいです。男の子が来てわたしの手をつないでくれました。すると、わたし向きを変えていっしょに上ることができました。「あっ、そうなんだわ。この子たちはこれから大人に成長していくのね」
しばらくするとわたし元いた場所に戻っていました。幼稚園児はどこかに行ってしまい、わたしは大人の女性に戻ることができました。
「だめよ、ここから先に行ってはいけないわ」
わたしの目の前にはあの桜の木がありました。時間もあの時に戻ったみたいです。
わたしはすべてを理解し、その花園に行くことはあきらめました。あの花園はきっといのちを作る場所だったのです。だからあそこまで行ったらわたしはきっと赤ちゃん以前になってしまったことでしよう。でもなんとなくなつかしい気もするんです。
投稿者 kiki : 18:49 | コメント (4) | トラックバック (0)