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2005年05月18日

2005年05月18日

水芭蕉のダンス


 細野の残雪も溶け、道路わきにはたくさんの水芭蕉が見られます。まわりはすがすがしい新緑が始まっています。
 わたしは思わず
「この前お会いした水芭蕉さんはどこにいったのかしら」
と、つぶやきました。すると
「ここよ、あなたのすぐそばよ」
という返事が返ってきました。
「まあ、こんなところにどうしているの。この前はもっと奥にいたわ」
「あたし動けるのよ。これって皆さん知らないでしょうけど、お月さまの出ている夜だけ動けるの」
「ほんとうかしら。そんなの見たことないわ」
「ほんとうなの。あなた信じないのね。じゃあ目をつぶって。あたしがいいよって言うまで目をあけないでね」
 わたしは言われるままに目をつぶりました。次第にまわりが静かになっていくような感じがします。
「kikiちゃん、いいわよ。目を開けて」
 わたしがおそるおそる目を開けると真夜中になっていました。雲の間からお月さまが出て水芭蕉さんを照らします。
 すると今までじっとしていた水芭蕉さんがごそごそ音を立てながら動き出しました。
「まあ、素敵。こんなの初めてだわ」
 水芭蕉さんは月の光を浴びながらダンスを始めました。
「kikiもまぜて」
「いいわよ、早くあたしたちのところにいらっしゃい」
 わたしはお洋服が水に濡れてしまうのもいとわずにダンスに加わりました。
 一晩中踊ったでしょうか。とても楽しいひとときでした。やがて太陽が昇ってくるとダンスは終わりいつもの静かな朝に戻りました。
 水芭蕉さんは前にいたところから少し移動していました。
「この次の満月の時あたしたち、あなたの見えないところに行くのよ」
「ほんとうに、それはとっても寂しいわ」
「いいえ、また来年きっと会えるから待っててね」
 こうして今年も水芭蕉の季節は終わろうとしています。でも水芭蕉さんって動けることは今まで知りませんでした。自然ていろいろ不思議なことが起こるんですね。

投稿者 kiki : 22:15 | コメント (4) | トラックバック (0)