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2005年05月06日
細野にて
千手院の種蒔桜の撮影が終わり手作りのおにぎりを食べました。ちょっと寒かったですが空気が澄んでとてもいい気持ちです。これからどこに撮影に行こうかと迷いました。
するとどこからかわたしを呼ぶかすかな声が聞こえてきました。
「kikiちゃん、あたしたちと遊んで」
わたしは声のするほうに車を走らせました。一時間ちょっと走ったでしょうか。声はだんだんはっきりしてきました。
わたしは思わず森の言葉で叫んでしまいました。
「いったいだれなの、どこにいるの」
「ここよ、もっと耳をすませて」
声のするほうを見ると白のブラウスに緑のスカートをはいた小さな女の子が遠くに見えました。
「まあ、あなたなのね」
固くなった雪をすべらないようにそっと歩いていくとちょっと高い丘の下にその子がいました。あたりは霧に包まれていました。
「ちょっと待っててね。すぐ、みんなを呼んでくるわ」
しばらくすると霧が晴れ、丘の下には最初に見た子と同じような純白のブラウスと萌えるような緑のスカート姿の女の子がたくさんいて、わたしのほうを見つめていました。
「ようこそ、ここは秘密の場所よ。あたしたちと遊んでいってね」
「わあ、あなたたちとっても可愛いわ。そちらに行ってもいいかしら」とわたし。
「大丈夫よ、そっと降りてきてね」
わたしが雪の丘をそっと降りていくと、みんなが笑いながらわたしを出迎えてくれました。気づいたらわたしもその子たちと同じ白のブラウスと緑のスカート姿になっていました。
わたしたち、時を忘れて雪を投げあったり、木のまわりの雪が溶けているところにすわって木の葉の本を読んだりして遊びました。
しばらくするとまた薄く霧がかかって女の子たちの姿が見えなくなってしまいました。 ほんとうですかって。これはほんとうなのよ。
ここにわたしたちの写真があります。ここにはあの女の子たちが写っています。そしてわたしもよ。わたしはここにいるの。
投稿者 kiki : 19:59 | コメント (4) | トラックバック (0)