ヒメサユリさんとしばらくおしゃべりをしていましたが、わたしたちのおしゃべりを聞いたのかたくさんのヒメサユリさんがやってきました。
「あら、あなた。お顔真っ赤よ。どうしたの」とヒメサユリさんが言いました。
わたしは思わず顔を手で隠しました。
「意地悪ね。みんなに見つめられてわたしも恥ずかしいわ」と答えると、
「あら、おなたもそうだったのね。わたしたちといっしょね。恥ずかしがり屋さん」
ヒメサユリさんといっしょにクスクスと笑ってすっかりうちとけました。
しばらく歩くとなかよし三姉妹のヒメサユリさんに出会いました。
「ここで何をしているの」
「わたしたちに会いに来てくださるみなさんが、ロープから中に入ってわたしたちを踏まないように見張っているんです」
「まあ、そんなことをする人もいるの」
「最近はいなくなったわ。でもこれはずっとわたしたちのお役目なの」
「大変だけどみんなのためがんばってね」と言ってわたしふと気づきました。
「あなたたちとわたしを入れるとちょうど四姉妹だわ。あとで若草物語のお芝居しましょうね」
「わあ、喜んで。わたしたちそれまで役を決めておくわ」
わたしはそこから下って小さな池のほとりに行きました。
「お嬢さん」どこからか声がしました。
「まあ、わたしを呼ぶのは誰かしら」
「わたしですよ。この前お会いしてから何年もいらっしゃらないので、心配していたのよ」
振り向くとアヤメさんでした。
「最近来れなくてごめんなさい。わたし忙しかったんです。あの時は霧が出てよかったわ。きょうはこれからどうかしら」
「わたしに会いに時々いらっしゃらないとだめですよ。そう簡単には霧は出ないんです」
わたし、ただただ反省です。たびたび来てみなさんともっとなかよくしなければいけないんですね。
池を回ってもう一度ヒメサユリさんのほうに行こうとすると、また「お嬢さん」と声をかけられました。
道のかたわらに大きなつつじさんがいました。
「まあ、こんなところでお目にかかれるとはわたししあわせだわ。今年女沼に行く予定だったの。でもどうしても行けなかったのよ」
「ご存知だったんですね。わたし女沼のつつじなんです。あなたが来れないことを知ってこうしてここまでやってきたんです」
「つつじさん、なんてやさしいんでしょう。ほんとうにありがとう。わたし来年は女沼に必ずいくわ」
今年もいろいろな出会いがありました。これからもたくさんのおともだちに出会えますように♪
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